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部下のキャリア相談への対応力を高めるには

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キャリア形成支援面談を、評価面談や1on1と混同しない


監修:株式会社キャリアバランス

イメージ写真:管理職が部下のキャリア相談への対応力を学ぶ研修の様子
管理職が部下のキャリア相談への対応力を学ぶ研修の様子

部下のキャリア相談への対応力を高めたい、キャリア形成支援面談を管理職に任せたい、キャリア面談を制度として整えたい。こうした相談は増えています。一方で、現場の管理職からは「何を聞けばよいかわからない」「本人の希望を聞いても叶えられない」「評価面談や1on1との違いが曖昧」という声も出ます。

キャリア面談は、上司が部下に正解を与える場ではありません。本人の希望、強み、経験、組織からの期待を整理し、次の経験につなげる対話です。厚生労働省は、セルフ・キャリアドックを、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修を組み合わせ、体系的・定期的に従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する取り組みと説明しています。※1

部下のキャリア相談への対応力とは
部下の悩みにすぐ答えを出す力ではなく、本人の希望や不安を整理し、組織の期待と接続し、必要に応じて外部相談窓口や人事施策につなげる管理職の対話力です。

評価面談・1on1との違い

キャリア面談、評価面談、1on1は似ていますが、目的が違います。評価面談は成果や評価を確認する場です。1on1は日常的な業務支援や関係づくりの場として使われることが多く、キャリアテーマを扱うこともできます。キャリア形成支援面談は、本人の今後の働き方、能力開発、経験設計、組織の期待を扱う場です。

面談の種類主な目的注意点
評価面談成果・評価・目標達成度の確認キャリア不安を話しにくい場合がある
1on1業務支援、関係づくり、短期的な課題確認業務進捗だけで終わりやすい
キャリア面談本人の希望、強み、経験、組織期待の整理評価と切り分け、守秘範囲を説明する
外部相談中立的な自己理解、悩みの整理上司に伝える情報の範囲を明確にする

キャリア相談で最初に聞くこと

部下からキャリア相談を受けたとき、上司はすぐに助言したくなります。しかし最初に必要なのは、本人が何に困っているのかを分けて聞くことです。仕事の内容なのか、人間関係なのか、成長実感なのか、働き方なのか、将来の方向性なのかで、支援は変わります。

厚生労働省のキャリア形成・リスキリング推進事業では、企業向けにジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングやキャリア研修、セルフ・キャリアドック導入支援が案内されています。※3 企業内でキャリア形成支援を行う際も、面談を単独で終わらせず、研修や制度と接続することが重要です。

イメージ写真:上司と部下がキャリア面談で今後の経験を整理する様子
上司と部下がキャリア面談で今後の経験を整理する様子
  • 今、何に一番もやもやしているか
  • 今後やってみたい仕事や避けたい仕事は何か
  • これまで手応えがあった経験は何か
  • 今の役割で伸ばしたい力は何か
  • 組織から期待されていることをどう受け止めているか

言ってはいけない対応

キャリア相談で避けたいのは、上司の経験だけで決めつけることです。「自分の頃はこうだった」「まずは目の前の仕事を頑張れ」「その年齢ならこうするべき」といった言葉は、部下の考える余地を狭めます。管理職の経験は参考になりますが、部下の状況、価値観、ライフ、組織の変化は同じではありません。

避けたい対応なぜ問題か代わりに行うこと
すぐに助言する本人の考えが深まらないまず背景と本人の意味づけを聞く
経験談だけで語る上司の価値観を押し付けやすい部下の希望・強み・条件を確認する
希望を否定する相談しても無駄だと感じさせる実現可能性と次の経験を分けて考える
異動を約束する人事判断と面談の役割が混ざる人事連携の必要性を説明する

面談を機能させる設計

キャリア面談を機能させるには、管理職個人の対話力だけでなく、制度としての設計が必要です。対象者、頻度、面談時間、記録の扱い、守秘範囲、人事へのフィードバック範囲、外部相談窓口との連携を決めておきます。これらが曖昧だと、部下は安心して話せません。

面談シートを作る場合も、記入欄を増やすことより、次の経験に接続する設計が重要です。Will・Can・Must、これまでの経験、今後試したい役割、必要な支援、上司と人事への共有範囲を整理できるようにします。

外部相談窓口との役割分担

部下のキャリア相談をすべて上司が担う必要はありません。上司だからこそ話しにくい悩みがあります。評価、異動希望、人間関係、メンタル不調、家庭との両立などは、外部のキャリア相談窓口やカウンセラーが中立的に整理する方がよい場合があります。

担い手扱うテーマ連携の注意点
上司期待役割、現場経験、業務上の成長課題評価面談と混同しない
人事制度、配置、研修、対象者設計個人情報の扱いを明確にする
外部相談窓口本人の悩み、キャリア不安、メンタル面の早期相談守秘範囲と組織フィードバックを分ける
本人希望、強み、不安、試したい経験相談内容を次の行動につなげる

管理職研修として定着させる方法

部下のキャリア相談への対応力は、研修で傾聴や質問の型を学ぶだけでは定着しません。管理職が実際の面談で使えるようにするには、面談の目的、扱ってよい範囲、記録の残し方、人事につなぐ基準、外部相談窓口につなぐ基準をセットで決める必要があります。研修内容と社内ルールがつながっていないと、現場では「結局どこまで聞けばよいのか」が曖昧なままになります。

管理職研修では、まずキャリア面談の目的を評価や異動希望の聞き取りと切り分けます。その上で、部下の希望をそのまま叶える場ではなく、本人の希望、強み、今後の経験、組織の期待を整理する場だと位置づけます。管理職が約束できないことを約束しない一方で、本人が次に試せる経験を一緒に考えることはできます。

研修で扱う項目現場で起きやすい課題定着の工夫
傾聴・質問上司がすぐ助言してしまう本人の言葉を整理する質問を練習する
キャリア形成支援希望を聞いても配置に反映できない希望と次の経験を分けて考える
守秘範囲どこまで人事に共有するか迷う共有範囲を事前に説明する
外部相談連携上司が抱え込みすぎる相談窓口につなぐ基準を決める

研修後は、面談シートを配って終わりにしないことが重要です。実施後に上司同士で振り返り、どの問いが機能したか、どこで困ったか、部下の反応はどうだったかを共有します。人事はその声をもとに、面談ガイドやFAQを更新します。こうした運用があると、キャリア面談は一度きりのイベントではなく、管理職のマネジメント行動として定着します。

また、部下のキャリア相談にはメンタルヘルスや人間関係の悩みが混ざることがあります。管理職がすべてを解決しようとせず、キャリア相談室、産業保健、EAP、人事窓口など、適切な相談先につなぐ判断も対応力の一部です。キャリア形成支援面談を制度として設計する場合は、上司の対話力と相談窓口の運用を分けて整えることが現実的です。

管理職研修を行う場合は、面談ロールプレイだけでなく、実際に自社で起きやすい相談テーマを扱います。若手の離職不安、異動希望、管理職になりたくないという相談、育児や介護との両立、専門性をどう伸ばすか、ベテラン社員の役割不安などです。一般論の質問集ではなく、自社で起きる相談に近いケースを使うと、研修後に現場で使いやすくなります。

さらに、キャリア面談を実施する管理職に対して、人事が「相談された内容を全部解決しなくてよい」と伝えることも重要です。上司の役割は、部下の考えを整理し、次の経験や必要な支援につなげることです。配置や評価の判断、専門的なメンタルヘルス支援、外部相談窓口で扱うべきテーマまで一人で抱え込む必要はありません。

部下のキャリア相談への対応力向上は、個々の管理職のスキルアップであると同時に、会社としてキャリア形成支援をどう運用するかという設計課題です。面談の型、上司の関わり方、人事との連携、外部キャリア相談窓口を一緒に整えることで、社員が相談しやすい土台ができます。

特に、管理職が「部下のキャリアを支援すること」と「本人の希望をすべて叶えること」を混同しないようにする必要があります。キャリア形成支援面談では、希望を聞き、現実の制約も共有し、今の職場で試せる経験に落とし込むことが大切です。異動や昇進がすぐに実現しない場合でも、任せる仕事、学習テーマ、社内外の相談先を整理することで、本人の納得感は高まりやすくなります。

また、部下のキャリア相談への対応力を高めるには、管理職自身が相談できる場も必要です。難しい相談を受けたときに、人事や外部専門家に相談できる仕組みがあると、上司の抱え込みを防げます。

キャリアバランスで支援できること

キャリアバランスでは、上司向けのキャリア面談研修、1on1研修、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修を組み合わせて支援します。管理職が部下のキャリア相談にどう応じるか、どこまで上司が扱い、どこから人事や外部相談窓口につなげるかを、企業ごとの運用に合わせて整理します。

部下のキャリア相談への対応力は、上司の人柄だけで決まりません。面談の目的、問いの設計、守秘範囲、次の経験への接続、外部相談窓口との役割分担があって初めて機能します。

よくある質問

Q. キャリア面談と評価面談は何が違いますか?

評価面談は成果や評価を扱います。キャリア面談は本人の希望、強み、今後の経験、組織の期待を整理する対話です。

Q. 部下からキャリア相談を受けたら何を聞けばよいですか?

まず結論を急がず、困っていること、今後試したい経験、強み、働き方の条件、相談してよい範囲を確認します。

Q. 上司がアドバイスしすぎると問題ですか?

問題になることがあります。上司の正解を押し付けず、部下が自分で考えられる問いを使うことが大切です。

Q. 外部相談窓口とはどう役割分担しますか?

上司は期待と機会を伝え、外部相談窓口は本人の悩みを中立的に整理します。守秘範囲を明確にすることが重要です。

参考文献

  1. 厚生労働省「企業・学校等においてキャリア形成支援に取り組みたい方へ」
  2. 厚生労働省 キャリア形成・リスキリング推進事業「セルフ・キャリアドックとは」
  3. 厚生労働省 キャリア形成・リスキリング推進事業「企業・団体の方」
  4. 厚生労働省「キャリアコンサルタントとして活動している方へ」

著者プロフィール

CAREERBALANCE

株式会社キャリアバランス

キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理師など、全員が国家資格を保有するカウンセラー・講師チームが、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向け面談研修、女性活躍推進、ベテラン層支援を行っています。

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