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1on1研修とキャリア面談研修の違い

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面談を「予定」ではなく、育成の仕組みにする


監修:株式会社キャリアバランス

イメージ写真:管理職研修で面談スキルを学ぶ参加者の様子
管理職研修で面談スキルを学ぶ参加者の様子

1on1研修とキャリア面談研修は、どちらも上司と部下の対話を扱います。ただし、目的は同じではありません。1on1は日常的なコンディションや業務の進め方を扱う継続的な対話で、キャリア面談は本人の価値観、強み、将来の経験を深く扱う節目の対話です。

1on1研修とキャリア面談研修の違い
1on1研修は日常の対話を続けるための関わり方を、キャリア面談研修は本人のキャリア形成を支えるための傾聴・質問・フィードバックを扱います。目的を分けて設計すると、面談が形骸化しにくくなります。

目的別に見る違い

観点1on1研修キャリア面談研修
主な目的日常の関係性、業務支援、コンディション把握本人のキャリア形成、成長機会、今後の経験設計
扱うテーマ業務課題、困りごと、短期の行動改善価値観、強み、Will・Can・Must、将来の役割
必要なスキル傾聴、質問、コーチング、フィードバック傾聴、キャリア視点の問い、経験学習の設計
頻度月1回など継続的に行うことが多い年数回や節目ごとに深く扱うことが多い

調査から見る1on1の導入目的と課題

リクルートマネジメントソリューションズの調査では、1on1ミーティングの導入目的として、部下の主体的な成長や成長支援、上司と部下のコミュニケーション促進などが挙げられています。一方で、目的が曖昧なまま始めると、面談が雑談や進捗確認に寄り、育成やキャリア形成につながりにくくなります。1on1研修では、まず「自社では何のために1on1を行うのか」を管理職が説明できる状態にすることが重要です。※1

JILPTの2026年調査では、キャリア関連施策の浸透には、経営者層や管理職層の意識、社風が関係することが示されています。これは面談制度にもそのまま当てはまります。人事が面談制度を作っても、管理職が部下のキャリア支援を自分の役割として捉えていなければ、制度は形だけになります。逆に、管理職が「部下の希望を聞くだけ」ではなく、「会社の期待と本人のキャリアをどう接続するか」を考えられると、1on1やキャリア面談は育成の仕組みとして機能します。※2

また、厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」では、正社員に対してキャリアコンサルティングを行う仕組みがある事業所は49.4%とされています。キャリア相談やキャリア面談の仕組みは広がっていますが、まだ全ての企業で十分に整っているわけではありません。だからこそ、1on1を日常の対話として整え、節目ではキャリア面談や外部キャリアコンサルティングへ接続する設計が、企業のキャリア支援として意味を持ちます。※3

2way面談にする

面談が機能しない職場では、上司が話し、部下が聞く時間になりがちです。2way面談では、上司が状況を確認するだけでなく、部下が自分の考えや希望を言語化し、双方で次の行動を決めます。キャリア面談では特に、この双方向性が重要です。

一方通行の面談では、上司は「伝えたつもり」になり、部下は「聞かれなかった」と感じます。2way面談では、上司が話す時間と部下が話す時間のバランスを意識し、最後に双方で合意した次の行動を確認します。これにより、面談が単なる状況確認ではなく、育成とキャリア支援の場になります。

キャリア面談で使いやすい質問例

キャリア面談では、いきなり将来像を聞くと答えにくいことがあります。まず現在の仕事、次に本人の強みや関心、最後に今後試したい経験へ進めると、自然に話が広がります。

場面質問例ねらい
現在地の確認今の仕事で、手応えを感じていることは何ですか強みや成長実感を言語化する
不安の整理今後の働き方や役割で、気になっていることはありますかキャリア不安を早めに把握する
経験接続次に任されると成長につながりそうな経験は何ですか面談を行動につなげる
支援確認そのために上司や会社からどんな支援があるとよいですか本人任せにせず、支援策を具体化する

質問例は便利ですが、読み上げるだけでは面談は深まりません。部下の答えに対して「もう少し詳しく聞かせてください」「それはどんな場面で感じましたか」と掘り下げる力が必要です。研修では、質問リストを覚えるよりも、相手の言葉を受けて次の問いを立てる練習を重視します。

イメージ写真:管理職と部下がキャリア面談で対話する様子
管理職と部下がキャリア面談で対話する様子

研修で扱うべき内容

管理職研修やマネジメント研修として面談スキルを扱う場合、単なる会話術ではなく、組織の育成方針とつなげる必要があります。たとえば、傾聴と質問の練習だけで終わらせず、部下のキャリアプラン、現在の役割、次に任せる経験、必要なサポートまで整理するロールプレイを入れると、現場で使える研修になります。

  • 部下の話を遮らず、事実・感情・希望を分けて聴く。
  • 「どうしたいか」だけでなく、「何を試すか」まで問いを進める。
  • 評価や指示ではなく、本人の自己理解を深めるフィードバックを行う。
  • 面談後に、次の1on1や育成計画へ接続する。

管理職に必要な面談スキル

1on1研修やキャリア面談研修で扱うべきなのは、話し方の型だけではありません。管理職が部下の状況を受け止め、本人の考えを引き出し、次の行動につなげる一連のヒューマンスキルです。コーチング、フィードバック、質問力、要約力はそれぞれ役割が違うため、研修では使い分けまで扱う必要があります。

スキル面談での使い方注意点
傾聴部下の言葉を遮らず、背景や感情を確認する同意することと、理解することを混同しない
質問本人の価値観、強み、次に試したい経験を引き出す詰問にならないよう、問いの順番を設計する
コーチング本人が自分で選択肢を考えられるよう支援する答えを押しつけず、行動の一歩まで伴走する
フィードバック見えている強みや行動の影響を伝える人格評価ではなく、行動と事実に基づいて伝える

研修設計の流れ

面談研修は、座学だけでは現場に戻ったときに使われにくくなります。おすすめは、制度説明、面談の目的整理、良い例・悪い例の比較、ロールプレイ、職場での実践計画までを一続きにすることです。これにより、管理職は「何を聞けばよいか」だけでなく、「どこまで扱い、何を次につなげるか」を理解できます。

  1. 自社で面談を行う目的を確認する。評価面談、1on1、キャリア面談の違いを整理します。
  2. 部下が話しにくくなる要因を確認する。評価への不安、守秘性、上司の反応を扱います。
  3. ロールプレイで傾聴・質問・要約・フィードバックを練習する。
  4. 実際の部下との面談で使う問いを作成する。
  5. 実施後に振り返り、次の管理職研修やマネジメント研修へ改善点を戻す。

特にキャリア面談では、上司が「会社として期待する役割」と「本人が大切にしたいこと」を両方扱う必要があります。どちらか一方に寄ると、会社都合の面談、または本人の希望を聞くだけの面談になってしまいます。両方を扱えるようにすることが、2way面談の土台です。

記録と守秘の扱い

面談を継続するには記録が必要ですが、記録の扱いを間違えると部下は話しにくくなります。特にキャリア面談では、評価面談と同じ記録様式にしてしまうと、本人が「評価に使われるのではないか」と感じることがあります。

おすすめは、本人が持ち帰る記録と、上司・人事が見る記録を分けることです。本人用には、話した内容、気づき、次に試すこと、必要な支援を残します。上司用には、本人と合意した行動や支援事項を中心に残し、価値観や悩みの詳細を不用意に共有しないようにします。人事が全社傾向を見る場合も、個人が特定されない形で扱うことが大切です。

対象者によって研修内容を変える

同じ管理職研修でも、新任管理職、経験の長い管理職、部長層では必要な内容が異なります。新任管理職には面談の基本型と傾聴を、経験者には部下のキャリア形成やメンタルヘルス予防の視点を、部長層には組織全体の育成文化を作る視点を入れると効果的です。

対象研修で扱うテーマ期待する変化
新任管理職1on1の基本、傾聴、質問、フィードバック部下と定期的に対話する土台を作る
既任管理職キャリア支援、2way面談、育成計画への接続面談を業務管理から育成支援へ広げる
管理職候補部下支援の考え方、コミュニケーション研修将来のマネジメント不安を軽減する
部長・役員層育成文化、管理職支援、制度との接続現場任せにしない仕組みを作る

研修後に現場で続ける工夫

面談研修は、一度実施して終わりにすると定着しにくいテーマです。研修直後は意識が高まっても、日常業務に戻ると元の面談に戻ってしまうことがあります。そこで、研修後に管理職同士で事例を共有したり、実施後の振り返りシートを使ったり、一定期間後にフォロー研修を行うと効果が出やすくなります。

  • 研修後、最初の1on1で使う質問を決めておく
  • 面談後に「次に試すこと」を必ず一つ決める
  • 管理職同士で、うまくいった問いや難しかった場面を共有する
  • 評価面談とキャリア面談の記録を混同しない
  • 3カ月後に面談の実施状況と課題を振り返る

面談で起きやすいNG例と改善例

面談スキルは、良い言葉を知っているだけでは身につきません。実際の場面で起きやすいNG例を確認し、どのように言い換えるかを練習することで、管理職は現場で使える感覚を持てます。

場面NG例改善例
キャリア希望を聞く将来どうしたいの?今の仕事で増やしたい経験、減らしたい負担はありますか
部下が迷っているまず自分で考えていくつか選択肢を一緒に整理してみましょう
希望が会社都合と違うそれは難しいと思うその希望の背景を聞かせてください。会社の期待とも重なる部分を探しましょう
面談後の行動また考えておいて次回までに試せる小さな行動を一つ決めましょう

会社でよく起きる課題

1on1やキャリア面談を導入している企業でも、運用がうまくいかない理由はさまざまです。面談頻度はあるのに話す内容が浅い、評価面談と混ざって本音が出ない、管理職によって品質差が大きい、面談後に何も変わらない。これらは、管理職個人の努力不足というより、制度と研修と現場運用がつながっていないことが原因で起きます。

たとえば、面談シートだけを配っても、管理職がキャリア支援の考え方を理解していなければ、記入欄を埋める作業になります。逆に、研修で対話スキルを学んでも、会社として面談の目的や記録ルールが決まっていなければ、現場で迷いが生まれます。だからこそ、研修と制度設計はセットで考える必要があります。

キャリアバランスで支援する場合

キャリアバランスでは、管理職研修や1on1研修を、単なるコミュニケーション研修としてではなく、キャリア支援の仕組みづくりとして設計します。部下の話を聞く力、本人の強みや希望を引き出す力、次の経験へ接続する力を、ロールプレイやケース検討を通じて身につけられるようにします。

また、必要に応じて企業内キャリア相談室や社外キャリアコンサルティングと組み合わせます。上司には話しにくいテーマを外部相談窓口で受け止め、上司は職場での経験設計を支える。この二層構造にすると、面談制度が「上司だけで抱える仕組み」になりにくくなります。

面談の目的が、離職防止なのか、管理職候補育成なのか、女性活躍推進なのか、メンタルヘルス予防なのかによって、研修内容は変わります。既製の研修をそのまま実施するよりも、御社の人事課題に合わせてケースやロールプレイを作る方が、現場での納得感が高まります。

研修後のフォローを設計する

1on1研修やキャリア面談研修は、当日の満足度だけで評価すると効果を見誤ります。研修直後は「分かった」と感じても、現場に戻ると忙しさや評価面談との混同によって、学んだ問いかけが使われなくなることがあります。そのため、研修後にどのように実践し、どのように振り返るかを先に設計しておくことが重要です。

研修直後管理職が次回の面談で使う問いを一つ決めます。全てを変えようとせず、まずは傾聴・質問・次の経験への接続のうち一つを実践します。
1か月後実際に使ってみて難しかった場面を共有します。部下が話さない、希望が出ない、会社都合とずれるなど、現場のつまずきを扱います。
3か月後面談後の行動が生まれているか、管理職が一人で抱え込んでいないか、人事や相談窓口につなぐ場面が整理できているかを確認します。

フォローを入れることで、研修は単発のイベントではなく、面談文化を育てるプロセスになります。特に管理職研修では、正解を教えるだけではなく、現場で起きた迷いを持ち寄り、次の面談でどう変えるかを考える時間が効果的です。

よくある失敗

1on1を導入しても、管理職が「雑談の時間」と捉えてしまうと効果は限定的です。一方、キャリア面談を評価面談と混ぜてしまうと、部下は本音を話しにくくなります。面談の種類ごとに目的、守秘範囲、扱うテーマ、記録の残し方を分けることが、制度を機能させる第一歩です。

また、面談を管理職個人の力量に任せすぎることも失敗につながります。得意な管理職だけがうまく実施し、苦手な管理職は形式的に済ませてしまうと、部下の体験にばらつきが出ます。だからこそ、面談スキルを個人任せにせず、研修・ツール・運用ルールで支える必要があります。

特に注意したいのは、「面談回数」だけをKPIにしてしまうことです。実施率が高くても、部下が話しにくい、次の経験が決まらない、上司が評価コメントばかりしている状態では、キャリア支援としては機能していません。面談後に本人が何を試すか、上司がどんな支援をするか、人事がどの傾向を拾って制度改善につなげるかまで見ることで、面談は単なる予定から育成の仕組みに変わります。

よくある質問

Q. 1on1研修とキャリア面談研修は何が違いますか?

1on1研修は日常的な対話を継続するための関わり方を扱い、キャリア面談研修は本人の価値観・強み・今後の経験を引き出す対話を扱います。

Q. 2way面談とは何ですか?

上司が一方的に伝えるだけでなく、部下も考えや希望を言語化し、双方で次の行動を決める面談です。キャリア面談では特にこの双方向性が重要です。

Q. 管理職研修として実施できますか?

可能です。管理職研修やマネジメント研修の一部として、傾聴、質問、コーチング、フィードバック、キャリア支援の観点を組み込んで設計できます。

Q. 面談シートは必要ですか?

必要ですが、記入欄を増やすだけでは不十分です。本人の気づきと次の経験に接続できるように、話した内容、合意した行動、必要な支援を整理できる形式にすることが重要です。

Q. 研修はオンラインでもできますか?

可能です。講義だけでなく、ブレイクアウトを使ったロールプレイやケース検討を入れることで、オンラインでも実践的な研修にできます。

参考文献

  1. リクルートマネジメントソリューションズ「1on1ミーティング導入の実態調査」
  2. JILPT「企業におけるキャリア支援の現状と課題」
  3. 厚生労働省 令和6年度「能力開発基本調査」の結果について

著者プロフィール

CAREERBALANCE

株式会社キャリアバランス

キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理師など、全員が国家資格を保有する専門家チームとして、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向け面談研修、メンタルヘルス対策を支援しています。

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