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高ストレス職場への対応とメンタルヘルス予防

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高ストレス職場は、個人対応だけでは改善しない


監修:株式会社キャリアバランス

イメージ写真:高ストレス職場の課題について会議する様子
高ストレス職場の課題について会議する様子

高ストレス職場への対応とは、高ストレス者を個別にフォローするだけでなく、ストレスチェックの集団分析、上司の関わり方、業務量、裁量、ハラスメント予防、相談窓口の使いやすさを見直し、職場環境そのものを改善する取り組みです。メンタルヘルス予防は、一次予防を中心に「不調が深刻化する前に気づき、つなぐ」体制づくりが要になります。

高ストレス職場では、個人のストレス耐性だけに原因を求めると改善が進みません。職場の負荷、コミュニケーション、上司の支援、相談しやすさをセットで見直すことで、休職・離職・パワハラリスクの予防につながります。

厚生労働省のストレスチェック制度実施マニュアルでは、ストレスチェック制度の主な目的を、労働者自身の気づきを促し、職場改善につなげ、メンタルヘルス不調を未然に防止することとしています。出典:厚生労働省

高ストレス職場で確認するポイント

ストレスチェック結果で高ストレス者が多い、部署ごとのストレス反応が高い、休職や離職が増えている場合は、個別面談だけでなく職場要因の把握が必要です。高ストレス職場の対応では、次の観点を分けて確認します。

  • 業務量や納期が慢性的に過重になっていないか
  • 上司からの支援やフィードバックが不足していないか
  • パワハラ・心理的安全性・相談しづらさの問題がないか
  • ストレスチェック後の集団分析が職場改善につながっているか
  • 産業医・人事・外部相談窓口へのつなぎ方が明確か

ストレスチェックだけで終わらせない

厚生労働省の「令和6年度 労働安全衛生調査(実態調査)」では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は63.2%、労働者50人以上の事業所では94.3%です。対策の内容では「ストレスチェックの実施」が65.3%、「職場環境等の評価及び改善」が54.7%とされています。

出典:厚生労働省「令和6年度 労働安全衛生調査(実態調査)」 概況PDF ›

数字からも分かるように、ストレスチェックの実施だけでなく、結果を職場改善へつなげることが重要です。高ストレス者への面接指導は大切ですが、職場全体の負荷や人間関係が変わらなければ、同じ問題が繰り返されます。

イメージ写真:落ち着いた相談スペースに椅子が向かい合って置かれている様子
落ち着いた相談スペースに椅子が向かい合って置かれている様子

ラインケアと外部相談窓口を組み合わせる

管理職のラインケアでは、部下の変化に早く気づき、必要な支援につなぐ力が求められます。ただし、上司だけで抱え込むと、評価者と支援者の役割が混ざりやすくなります。そこで、外部相談窓口や社外カウンセラーを組み合わせると、従業員が評価を気にせず相談できる導線を確保できます。

ラインケア上司が日常の変化に気づき、声をかけ、必要に応じて人事・産業保健へつなぐ。
外部相談窓口評価や人間関係から距離を置き、キャリア・メンタル・職場の悩みを相談できる場をつくる。
職場環境改善集団分析やヒアリングをもとに、業務量、裁量、コミュニケーション、ハラスメント予防を見直す。

職場改善の優先順位

高ストレス職場への対応では、「まず面談を増やす」「まず研修をする」といった単独施策だけでは不十分なことがあります。ストレスチェックの集団分析、休職・離職の傾向、残業時間、管理職の声、従業員の相談内容を合わせて見ながら、どこから手を付けるかを決めます。

業務量・納期慢性的な残業、急な依頼、役割の曖昧さが続く場合は、仕事の配分や優先順位の見直しが先になります。
上司支援上司が忙しく声をかけられない、相談しても否定される場合は、ラインケア研修や面談設計が必要です。
人間関係ハラスメント、孤立、心理的安全性の低さがある場合は、相談導線と職場内コミュニケーションの両方を整えます。
相談しづらさ社内に相談すると評価に響くと受け止められている場合は、外部相談窓口や守秘ルールの周知が有効です。

重要なのは、個人の不調を「本人の問題」として切り離さないことです。個別フォローを行いながら、同じ部署で同じ問題が繰り返されていないかを確認し、職場環境の側にも手を入れる必要があります。

よくある失敗

メンタルヘルス対策でよくある失敗は、制度や研修を導入したことで安心してしまうことです。ストレスチェックを実施しても、結果を職場改善へつなげなければ、従業員からは「答えても何も変わらない」と見られてしまいます。相談窓口も同じで、設置しただけでは利用されません。

  • ストレスチェック結果を部署へ返すだけで、改善テーマを決めていない
  • 高ストレス者への個別対応はするが、職場要因を見直していない
  • 管理職にラインケアを求める一方で、管理職自身の負荷を見ていない
  • 相談窓口の守秘ルールが曖昧で、従業員が安心して使えない
  • 人事、産業医、外部専門家の役割分担が決まっていない

こうした失敗を避けるには、施策を「実施したか」ではなく、「従業員が早く相談できるようになったか」「管理職が異変に気づきやすくなったか」「職場の負荷や関係性が改善したか」で振り返ることが大切です。

30日・60日・90日の進め方

高ストレス職場への対応は、すべてを一度に変えようとすると現場が疲弊します。まずは安全確保と現状把握、その次に管理職支援と相談導線、最後に職場改善の定着という順で進めると、実務に落とし込みやすくなります。

最初の30日ストレスチェックの集団分析、休職・離職・残業傾向、管理職ヒアリングを確認します。高リスクの個別対応が必要な場合は、産業医・保健師・人事の連携を優先します。
60日まで業務量、裁量、上司支援、人間関係、相談しづらさのうち、どの要因が大きいかを整理します。管理職向けラインケア研修や外部相談窓口の周知もこの段階で進めます。
90日まで改善テーマを1〜3個に絞り、部署単位で実行します。相談件数、面談後の安心感、管理職の対応変化、業務配分の見直し状況を確認します。

このロードマップは、医療判断や法的判断を代替するものではありません。人事・労務・産業保健・管理職・外部専門家が、それぞれの役割を分けて進めるための実務整理です。

相談窓口を機能させる周知

外部相談窓口を設置しても、従業員が「何を相談してよいか分からない」「会社に伝わるのではないか」と感じていると利用されません。高ストレス職場ほど、相談すること自体に心理的ハードルがあります。周知では、制度名だけでなく、利用場面と守秘の扱いを具体的に伝えます。

  • 「不調になってから」ではなく、「違和感がある段階」で相談できると伝える
  • キャリア、上司との関係、仕事量、将来不安、メンタル不調の予防など相談テーマを例示する
  • 本人同意なしに個別内容を会社へ戻さないことを明記する
  • 緊急時や安全配慮が必要な場合の例外ルールも隠さず伝える
  • 管理職にも「自分だけで抱え込まないためのつなぎ先」として案内する

相談窓口は、従業員だけのためではありません。管理職が部下の不調やキャリア不安を一人で抱え込まないための支援先にもなります。高ストレス職場では、本人支援と管理職支援を同時に整えることで、早期相談の流れが作りやすくなります。

人事・管理職・外部専門家の役割分担

高ストレス職場への対応では、誰か一人がすべてを背負う形にしないことが重要です。人事は制度と安全配慮、管理職は日常の変化への気づき、産業保健スタッフは医学的・保健的な支援、外部専門家は相談導線や職場改善の伴走というように、役割を分けます。

人事・労務ストレスチェック結果、休職・復職、配置、就業上の措置、相談窓口の運用ルールを整理します。
管理職日常の変化に気づき、声をかけ、業務量や優先順位を調整し、必要に応じて人事や専門窓口へつなぎます。
産業医・保健師健康面の評価、面接指導、復職支援、就業上の配慮について専門的に関わります。
外部相談窓口評価や社内人間関係から距離を置き、従業員が早い段階で相談できる場を提供します。
キャリア・メンタル専門家キャリア不安、モチベーション低下、職場適応、管理職支援を横断して扱い、組織改善の論点を整理します。

役割分担を決めておくと、管理職が「自分が何とかしなければ」と抱え込む状況を減らせます。従業員側にとっても、どの悩みをどこに相談すればよいかが分かりやすくなり、早期相談につながります。

予防導線として設計する

高ストレス職場への対応は、問題が起きた後の火消しだけで考えると後手に回ります。休職者が出た、ハラスメント相談が入った、離職が続いた、という段階で動くことも必要ですが、本来は「不調になる前」「相談が深刻化する前」に気づける導線を持っておくことが重要です。

予防導線として見ると、ストレスチェック、従業員満足度調査、エンゲージメント調査、1on1、キャリア面談、外部相談窓口は別々の施策ではありません。従業員がどこかで違和感を出せるか、管理職が早めに気づけるか、人事が個人情報を守りながら組織傾向を拾えるか、という一連の流れとして設計します。

早期のサイン遅刻・欠勤、発言量の減少、急なミス、残業増、上司や同僚との関係変化などを、評価ではなく支援の入口として扱います。
相談導線社内人事、上司、産業保健、外部相談窓口のどこへ相談すればよいかを、従業員にも管理職にも分かる言葉で示します。
組織改善個別対応で終わらせず、相談テーマやストレス要因の傾向を、業務量・裁量・人間関係・キャリア不安の観点で整理します。

パワハラ予防・健康経営と切り離さない

メンタルヘルス予防は、パワハラ予防や健康経営とも密接に関係します。高ストレス職場では、仕事量だけでなく、上司の関わり方、心理的安全性、キャリアの見通しのなさが重なっていることがあります。ハラスメント研修だけを実施しても、管理職のマネジメント行動や相談の受け止め方が変わらなければ、職場の体感は変わりにくいままです。

健康経営の観点でも、制度を並べるだけでなく、従業員が「早めに相談してよい」と感じられる文化づくりが必要です。キャリア相談、メンタルヘルス相談、ラインケア、復職支援を別々に運用するのではなく、従業員の状態に応じて自然につながるようにしておくと、相談の遅れを防ぎやすくなります。

そのためには、管理職に「不調者対応の正解」を求めすぎないことも大切です。管理職の役割は診断することではなく、変化に気づき、話を聴き、必要な窓口につなぐことです。専門判断が必要な領域は産業医・保健師・公認心理師などにつなぎ、職場内では業務調整や関係性の改善に集中できるよう役割を整理します。

効果測定は「相談しやすさ」まで見る

メンタルヘルス予防の効果は、休職者数や高ストレス者割合だけで判断すると見落としが出ます。数字がすぐに下がらなくても、早い段階で相談する人が増えた、管理職が一人で抱え込まず人事や外部窓口につなげるようになった、復職前後の連携がスムーズになった、という変化は重要です。

確認したい指標は、相談窓口の利用件数、相談前の心理的ハードル、相談後の安心感、管理職のラインケア実施状況、ストレスチェック後の職場改善テーマ、従業員満足度調査やエンゲージメント調査における職場支援項目です。定量データだけでなく、面談やアンケートで得られる従業員の声も合わせて見ると、施策が現場でどう受け止められているかが分かります。

短期的には「早めに相談できる導線ができたか」、中期的には「管理職と人事の連携が良くなったか」、長期的には「高ストレス職場の要因が減っているか」を見ると、施策を継続改善しやすくなります。

キャリアバランスで支援できること

株式会社キャリアバランスでは、メンタルヘルス対策として、セルフケア・ラインケア研修、ストレスチェック結果を踏まえた職場改善、復職支援、相談窓口設計を支援します。キャリアの悩みとメンタル不調の予防はつながりやすいため、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援と組み合わせることで、早期相談の導線を作れます。

よくある質問

Q. 高ストレス職場では最初に何をすべきですか?

個人を責めるのではなく、ストレスチェックの集団分析やヒアリングで職場要因を確認します。そのうえで業務量、裁量、上司の関わり方、相談導線を見直します。

Q. メンタルヘルス予防とストレスチェックはどう違いますか?

ストレスチェックは気づきと職場改善につなげる制度です。メンタルヘルス予防は、ラインケア、相談窓口、職場環境改善、復職支援まで含む継続的な取り組みです。

Q. 外部相談窓口は高ストレス職場に有効ですか?

有効です。社内に話しにくい悩みを外部専門家に相談できる導線があると、不調の早期把握と職場改善のきっかけを作りやすくなります。

Q. 職場改善では何から優先すべきですか?

高ストレスの要因が業務量、裁量不足、上司支援、人間関係、ハラスメント、相談しづらさのどこにあるかを分け、影響が大きく着手しやすい項目から改善します。

Q. 人事だけで対応しきれない場合はどうすればよいですか?

産業医、保健師、管理職、外部相談窓口、キャリア・メンタルヘルスの専門家と役割を分け、個別対応と職場環境改善を並行して進めます。

参考文献

  1. 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
  2. 厚生労働省「ストレスチェック制度 導入マニュアル」

著者プロフィール

CAREERBALANCE

株式会社キャリアバランス

キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理師など、全員が国家資格を保有する専門家チームとして、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向け面談研修、メンタルヘルス対策を支援しています。

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