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ミドルシニア・ベテラン社員を活性化するジョブアサイン設計

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動機付けだけでなく、役割再定義と経験の活かし方を設計する


監修:株式会社キャリアバランス

イメージ写真:ベテラン社員が上司と今後の役割について面談する様子
ベテラン社員が上司と今後の役割について面談する様子

ミドルシニアやベテラン社員の活性化という言葉はよく使われます。しかし現場では、「本人のモチベーションが下がっている」「新しい役割を任せにくい」「人事としてジョブアサインをどう考えればよいかわからない」といった相談が出ます。ベテラン社員の活用を、本人のやる気だけに任せてしまうと、問題は解決しません。

必要なのは、経験を棚卸しし、今後の役割を再定義し、その役割に合う仕事を渡すことです。厚生労働省は、70歳までの就業機会確保について、事業主が多様な選択肢を制度化する努力義務を設けるものと説明しています。※1 雇用期間が長くなるほど、ミドルシニア・ベテラン社員のキャリア形成支援は人事課題になります。

ミドルシニア・ベテラン社員の活性化とは
年齢層だけで一律に扱うのではなく、本人の経験、今後担ってほしい役割、組織課題、上司との関係を整理し、納得感のあるジョブアサインとキャリア面談につなげる取り組みです。

動機付けだけでは活性化しない

ベテラン社員の活躍促進では、「モチベーションを上げる研修」を行えばよいと考えられがちです。しかし本人が何に停滞感を感じているのか、会社が今後どの役割を期待しているのか、上司が期待を伝えているのかが曖昧なままでは、研修後に行動は変わりにくくなります。

ミドルシニア層は、過去の経験が豊富である一方、役割変化への戸惑いも抱えやすい層です。プレイヤーとして成果を出してきた人に、突然「後進育成をしてほしい」と伝えても、本人がその意味を理解できなければ動機付けにはなりません。

課題表面に出る状態見直すポイント
役割が曖昧何を期待されているかわからない期待役割、権限、成果基準を言語化
経験が活かされない若手と同じ仕事だけを続けている後進育成、品質改善、横断支援を設計
上司が関われない年上部下に遠慮して面談が浅い上司向け面談研修、対話テーマの整理
本人が諦めている新しい挑戦を避ける経験棚卸し、次の貢献テーマの発見

役割再定義とジョブアサイン

ベテラン社員のジョブアサインでは、過去の肩書きや年齢だけで役割を決めないことが重要です。専門性を活かす、顧客対応の経験を活かす、後進育成を担う、現場改善を進める、部門横断の調整役になるなど、貢献の形は複数あります。人事は、本人の希望と組織の期待が重なる場所を探す必要があります。

JILPTは、厚生労働省の2024年高年齢者雇用状況等報告を紹介し、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業が31.9%であるとまとめています。※2 就業期間が長くなるほど、単に雇用を継続するだけではなく、どのように力を発揮してもらうかの設計が問われます。

イメージ写真:ベテラン社員が経験を棚卸しし今後の役割を検討する様子
ベテラン社員が経験を棚卸しし今後の役割を検討する様子
ジョブアサイン向いているケース支援のポイント
後進育成専門技術や顧客対応の暗黙知がある教え方を任せきりにせず、育成計画を一緒に作る
品質改善・標準化経験に基づく判断力がある改善テーマと成果指標を明確にする
横断調整社内人脈や業務理解が広い権限と役割範囲を曖昧にしない
顧客・現場支援関係構築力やトラブル対応力がある若手とのペアリングで知見移転を行う

キャリア面談で扱うテーマ

ミドルシニア・ベテラン社員とのキャリア面談では、「今後も頑張ってください」と励ますだけでは不十分です。本人がこれまで大切にしてきた仕事、今後手放したいこと、次に貢献したい領域、学び直したいテーマ、働き方の希望を具体的に聞きます。役割を変える場合は、本人が納得できる意味づけが必要です。

厚生労働省は、セルフ・キャリアドックを、企業の人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修を組み合わせて従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する取り組みと説明しています。※3

  • これまでの経験で、今後も活かしたいものは何か
  • 今の仕事で負担になっていることは何か
  • 後進育成や横断支援に関心があるか
  • 新しく学び直したいテーマは何か
  • 会社からどのような期待を伝えられているか

ベテラン社員の活用パターン

ベテラン社員の活用では、本人に新しい役割を渡す前に、組織側が何を期待しているのかを整理します。若手育成を期待するのか、専門性の継承を期待するのか、顧客対応を期待するのか、現場の品質改善を期待するのかで、研修内容も面談テーマも変わります。

よくある失敗は、ベテラン社員に「若手を育ててください」とだけ依頼し、具体的な支援をしないことです。後進育成を任せる場合は、対象者、育成テーマ、期間、振り返り方法を決めることが必要です。

上司と人事の役割分担

ミドルシニア活性化では、直属上司だけに任せると難しい場合があります。年上部下への関わり方に迷う上司もいれば、過去の上下関係が影響し、期待を率直に伝えにくいケースもあります。そのため、人事が面談テーマや役割設計の枠組みを用意し、上司が本人と対話する形が現実的です。

担当主な役割注意点
人事対象者設計、研修企画、面談項目、ジョブアサインの方針年齢だけで一律に区切らない
上司期待の伝達、現場での役割付与、振り返り過去の関係性に遠慮しすぎない
本人経験の棚卸し、希望の整理、学び直しテーマの確認諦めや防衛的反応を否定しない
外部専門家中立的なキャリア面談、研修、スーパーバイズ守秘と組織フィードバックの範囲を明確にする

活用施策の効果をどう見るか

ミドルシニアやベテラン社員の活性化は、「研修を受けたか」「意識が上がったか」だけでは測りにくいテーマです。本人が今後どの領域で貢献したいと考えているか、その希望が職場の役割やジョブアサインと接続しているか、上司が期待役割を具体的に伝えられているかを見る必要があります。動機付けを本人の気持ちだけに置くと、組織として使える施策になりません。

人事が見るべきなのは、経験の棚卸しが次の役割に結びついているかです。たとえば、若手育成、品質改善、顧客対応、技術継承、部署横断の調整、プロジェクト支援など、ベテラン社員が担える役割は一つではありません。本人が過去の専門性にこだわりすぎている場合もあれば、上司が過去の役割のまま見ている場合もあります。キャリア面談では、このズレを丁寧に扱います。

観点確認する内容施策へのつなげ方
役割期待本人と上司で期待が一致しているか期待役割を言語化し、面談で合意する
ジョブアサイン経験を活かせる仕事が設計されているか後進支援、改善活動、横断支援を候補にする
学び直し新しい業務に必要な学習テーマがあるかリスキリングやアンラーンと接続する
職場影響周囲との関係やチーム貢献が変化しているか上司面談と職場での振り返りを組み合わせる

ベテラン社員の活用で起きやすいのは、本人の過去の経験を「すごいですね」と確認するだけで終わることです。経験は尊重しつつ、今の事業課題やチーム課題にどう接続するかを考えなければ、本人の活躍機会にはなりません。過去の強みを棚卸しした後は、今後任せたい役割、試してほしい行動、周囲に伝える期待をセットで設計します。

また、ミドルシニア層の施策は若手や管理職施策ともつながります。ベテラン社員が後進育成を担うなら、若手の離職防止や管理職の負担軽減にもつながります。専門性継承を担うなら、リスキリングや組織知の蓄積にも関係します。人事は、ベテラン層支援を単独施策ではなく、世代間の役割分担と人材活用の設計として扱うと効果を説明しやすくなります。

一方で、ベテラン社員に新しい役割を期待するときは、過去の貢献を否定しない伝え方が必要です。「今までのやり方を変えてください」とだけ伝えると、防衛的になりやすくなります。これまで培った経験をどこで活かし、どこは学び直すのかを分けることで、アンラーンやリスキリングも受け入れやすくなります。

ジョブアサインを設計する際は、本人の希望だけでなく、現場が本当に困っている課題を見ます。若手が定着しない、管理職が育成に時間を割けない、技能継承が進まない、部署間の調整が滞る。こうした課題に対して、ベテラン社員がどのように関われるかを考えると、活用策は具体化します。人事は、本人面談と上司面談の両方から情報を集め、無理のない役割設計に落とし込みます。

ベテラン社員の活用では、本人にだけ変化を求めないことも重要です。職場側がベテラン社員に何を期待するのかを曖昧にしたままでは、本人は過去の役割に戻りやすくなります。上司が期待役割を伝え、周囲が相談しやすい関係を作り、人事が役割変更後のフォローを行うことで、活躍促進は一過性の施策ではなくなります。

キャリアバランスで支援できること

キャリアバランスでは、ベテラン・シニア層のキャリア開発研修、個別面談、上司向けキャリア面談研修、企業内キャリア相談室の設計を組み合わせて支援します。本人の経験を棚卸しし、今後の貢献テーマを整理し、上司が期待を伝えられるように面談設計まで行います。

ベテラン社員の活躍促進は、モチベーション向上だけを目的にすると浅くなります。本人にとって意味のある役割、組織にとって必要な役割、その間をつなぐジョブアサインを考えることが重要です。

よくある質問

Q. ベテラン社員のモチベーション向上は研修だけでできますか?

研修だけでは不十分です。経験の棚卸し、今後の役割、ジョブアサイン、上司とのキャリア面談を組み合わせます。

Q. ミドルシニア活性化で最初に見るべきことは何ですか?

本人の経験、今後担ってほしい役割、現在の仕事とのずれ、上司が期待を伝えられているかを確認します。

Q. ベテラン社員のジョブアサインはどう設計しますか?

過去の専門性だけでなく、後進育成、品質改善、顧客対応、横断調整など組織に必要な貢献領域から設計します。

Q. 活躍促進の効果はどう測りますか?

面談後の役割明確化、後進育成行動、ジョブアサインの納得度、離職・不調の兆候、上司との対話継続を見ます。

参考文献

  1. 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正 70歳までの就業機会確保」
  2. JILPT「70歳までの就業確保措置を実施済みの企業が3割を超える」
  3. 厚生労働省「企業・学校等においてキャリア形成支援に取り組みたい方へ」
  4. 厚生労働省 キャリア形成・リスキリング推進事業「企業・団体の方」

著者プロフィール

CAREERBALANCE

株式会社キャリアバランス

キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理師など、全員が国家資格を保有するカウンセラー・講師チームが、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向け面談研修、女性活躍推進、ベテラン層支援を行っています。

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