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ダイバーシティ研修・DEIとは

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女性活躍推進を現場で動かす研修設計


監修:株式会社キャリアバランス

イメージ写真:対話や研修準備を想起させる人物のいない会議室
対話や研修準備を想起させる人物のいない会議室

ダイバーシティ研修・DEIは、多様な人を集めるための言葉ではなく、多様な人が働き続け、力を発揮できる職場を作るための実務です。研修だけで終わらせず、管理職の関わり方、女性管理職候補の育成、面談設計、相談窓口、ハラスメント予防と接続すると、現場の行動に変わります。

ダイバーシティ研修・DEIとは
ダイバーシティ研修は、多様な属性・経験・価値観を理解し、職場での関わり方を見直す研修です。DEIは、多様性を受け入れるだけでなく、公平な機会と包摂的な関係性を整え、社員が安心して能力を発揮できる状態を目指す考え方です。

Diversity・Equity・Inclusionは、別々に説明すると理解しやすくなります

ダイバーシティは、多様な人がいる状態を指します。性別、年齢、育児・介護、国籍、障がい、雇用形態、経験、価値観、働き方などが含まれます。インクルージョンは、多様な人がいても孤立せず、意見を言いやすく、仕事に参加できる状態です。エクイティは、同じ扱いをするだけでなく、必要な支援や機会の差を調整し、公平に活躍できるようにする考え方です。

この3つは、どれか一つだけでは機能しません。多様な人材を採用しても、職場で発言しにくければ活躍できません。制度を整えても、管理職が使いにくい雰囲気を作っていれば、利用は進みません。研修で知識を学んでも、日々の面談や業務配分が変わらなければ、現場の実感にはつながりません。

日本企業で扱う場合は、DEIという英語をそのまま出すだけでなく、現場の言葉に翻訳することが大切です。たとえば「多様な人がいることを前提に、仕事の任せ方、会議での発言機会、育成機会、評価の見え方を整えること」と説明すると、人事施策として理解されやすくなります。

女性活躍推進や女性管理職候補の育成も、DEIの一部として扱えます。本人の意欲だけを問題にせず、上司の推薦行動、経験付与、働き方の柔軟性、ロールモデル、心理的な安全性を含めて設計することで、単なる啓発研修から実務施策へ進められます。

概念簡単な意味職場で見るポイント
ダイバーシティ多様な人がいる状態属性だけでなく経験・価値観・働き方も見る
エクイティ公平に機会を得られるよう調整すること育成機会、情報、評価、両立支援の偏りを見る
インクルージョン参加しやすく力を発揮できる状態会議、面談、仕事配分、相談しやすさを見る

研修だけでは足りない理由は、行動の場が職場にあるからです

ダイバーシティ研修は、知識を揃えるうえで有効です。しかし、研修で理解した内容を現場で使わなければ、行動は変わりません。部下に仕事を任せるとき、会議で発言を拾うとき、育児や介護を抱える社員と面談するとき、管理職候補に経験を渡すときにこそ、DEIの考え方が問われます。

内閣府や厚生労働省は、女性活躍推進に関する制度や企業の取組を整理しています。※1 ただし制度があるだけでは、社員の実感は変わりません。育児中の社員に責任ある仕事が渡らない、女性管理職候補に挑戦機会が来ない、ベテラン社員の経験が活用されないといった状態があれば、制度と現場の間に距離があります。

研修後に必要なのは、職場での行動設計です。管理職がどのように面談するのか、どのように仕事を任せるのか、どのように不安や制約を聞くのか、どのようにチームで支援するのかを決めます。抽象的な理解を、日々のマネジメント行動に置き換えることが重要です。

人事部門は、制度説明だけでなく、管理職が困る場面を想定したケース演習を入れると効果的です。たとえば、育児中の社員に新しい役割を打診する場面、管理職候補が昇進に迷っている場面、会議で一部の人だけが発言している場面を扱うと、DEIが現場の話になります。

イメージ写真:ダイバーシティ研修の準備を想起させる人物のいない会議室
ダイバーシティ研修の準備を想起させる人物のいない会議室

女性活躍推進は、本人の努力だけにしないことが重要です

女性活躍推進でよくある失敗は、女性社員本人にだけ意識変革を求めることです。もちろん本人の意思や準備も大切ですが、管理職候補に必要な経験が渡っているか、上司が推薦しているか、周囲が役割期待を伝えているか、両立支援が使いやすいかを見なければ、候補者は増えません。

女性管理職候補の育成では、早い段階から小さなマネジメント経験を設計することが有効です。いきなり管理職を打診するのではなく、プロジェクトリード、後輩育成、会議運営、顧客対応、課題整理などの経験を積むことで、本人も周囲も管理職としての可能性を確認できます。

キャリア面談では、昇進意欲を直接聞くだけでなく、何が不安なのかを分けて扱います。業務量、家庭との両立、ロールモデル不足、失敗への恐れ、周囲の期待の見えにくさなど、理由によって支援は変わります。本人の回答を「意欲がない」と短絡的に判断しないことが大切です。

管理職側には、無意識の決めつけを扱う研修が必要です。「忙しそうだから任せない」「子育て中だから大変だろう」「本人から希望が出ていないから声をかけない」といった善意の配慮が、結果的に経験機会を狭めることがあります。DEI研修では、このような現場の判断を具体的に見直します。

見直す領域起きやすい問題改善の視点
経験付与候補者に挑戦機会が渡らない小さなリード経験から設計する
上司の推薦本人から手が挙がるまで待つ期待と支援条件を明確に伝える
面談意欲だけを確認する不安・制約・支援条件を分けて聞く

管理職研修では、言葉の理解より関わり方を練習します

管理職向けのダイバーシティ研修では、用語説明だけでは足りません。管理職が実際に困るのは、部下の状況をどう聞くか、どこまで配慮するか、仕事をどう任せるか、チーム内で不公平感が出ないようにどう説明するかです。研修では、実際の会話に近いケースを扱う必要があります。

面談スキルとしては、本人の事情を聞き出すことだけでなく、役割期待を伝えることが大切です。配慮だけが強くなると、挑戦機会が減ります。期待だけが強くなると、本人の制約が見えなくなります。両方を扱うために、事実、本人の希望、組織の期待、必要な支援を分けて確認します。

DEIの文脈では、心理的安全性という言葉もよく使われます。ただし、何でも自由に言えることだけを意味するわけではありません。職場では、違和感や不安を共有できること、反対意見を出しても関係が壊れないこと、困ったときに相談できることが重要です。

ハラスメント予防とも接続できます。パワハラやセクハラを防ぐことは最低限ですが、それだけでは包摂的な職場にはなりません。日常の言葉、会議運営、仕事の任せ方、成長機会の渡し方を見直すことで、安心して働ける環境に近づきます。

効果は、受講満足度だけでなく行動と機会で見ます

ダイバーシティ研修の効果測定を、受講後アンケートだけにすると限界があります。研修が分かりやすかったかだけでなく、管理職の面談行動が変わったか、女性管理職候補に経験機会が渡ったか、相談しやすさが高まったか、従業員満足度調査やエンゲージメント調査に変化があるかを見ます。

定量的には、女性管理職候補者数、昇進候補への推薦数、研修後の面談実施率、1on1でキャリアテーマを扱った割合、相談窓口の利用件数、離職率、休職前相談の有無などが参考になります。数字だけでは分からない部分は、ヒアリングや面談記録の傾向から確認します。

重要なのは、数字を責めるために使わないことです。ダイバーシティやDEIは、すぐに成果が出る施策ではありません。現状を可視化し、どこで機会が止まっているのか、どの管理職が困っているのか、どの層に相談導線が届いていないのかを見つけるために使います。

企業ごとに課題は異なります。女性活躍推進が主テーマの会社もあれば、ミドル・シニアの活躍、外国籍社員との協働、育児・介護との両立、メンタルヘルス予防が中心になる会社もあります。研修設計では、汎用資料をそのまま使うのではなく、自社の課題に合わせて重点を決めることが必要です。

導入は、現状把握、研修、面談、制度改善の順でつなげます

DEIやダイバーシティ研修を導入する場合、最初に現状を確認します。女性管理職比率、候補者の育成状況、面談の実施状況、相談窓口の利用、従業員満足度調査、ハラスメント相談の傾向などを見て、どこに課題があるかを整理します。

次に、管理職向けと社員向けで研修内容を分けます。管理職には、仕事の任せ方、面談、フィードバック、配慮と期待の両立を扱います。社員向けには、キャリア形成、相談の仕方、ライフイベントと働き方、周囲との協働を扱います。同じDEIでも、対象によって必要な内容は変わります。

研修後は、面談や相談窓口につなげます。女性管理職候補であれば、本人の不安を扱うキャリア面談と、上司が経験を渡すための面談をセットにします。メンタルヘルス予防と関連する場合は、職場改善やラインケア、外部相談窓口とも連動させます。

最後に、制度改善へ戻します。研修で出た声や相談傾向を、個人が特定されない形で人事施策に反映します。仕事配分、異動、評価、育成計画、管理職研修、相談窓口の導線を見直すことで、DEIは単発研修ではなく組織開発の一部になります。

ケース別に分けると、DEIは現場の問題として扱えます

DEI研修を分かりやすくするには、抽象概念をケースに置き換えることが有効です。たとえば、育児中の社員に責任ある仕事を任せるか迷う場面、女性管理職候補に昇進打診をする場面、ベテラン社員に新しいツール活用を促す場面、若手社員が会議で発言しにくい場面などです。ケースを通じて、管理職は自分の判断の癖に気づきやすくなります。

育児や介護との両立では、配慮と機会の両立がポイントです。配慮だけを強めると、本人に挑戦機会が回らなくなることがあります。一方で、期待だけを伝えると、本人の制約や不安を置き去りにします。面談では、本人が希望する働き方、必要な支援、任せられる仕事、周囲への説明を分けて確認します。

女性管理職候補の育成では、候補者リストを作るだけでなく、候補者が管理職の仕事を試せる経験を用意します。会議運営、後輩育成、プロジェクト推進、部署横断の調整など、管理職になる前に練習できる役割があります。経験がない状態で昇進だけを打診すると、不安が大きくなりやすいです。

外国籍社員や多様な文化背景を持つ社員がいる職場では、言語や文化の違いだけでなく、暗黙のルールを明示することが大切です。評価基準、会議での発言方法、報連相の期待値、休暇や働き方のルールが曖昧だと、一部の人だけが不利になります。インクルージョンは、特別扱いではなく、仕事の前提を見える化することでもあります。

メンタルヘルス予防ともつながります。多様な人が働く職場では、本人の事情が表に出にくいことがあります。相談窓口やキャリア面談を用意し、上司だけで抱え込まない導線を作ることで、早期相談につながりやすくなります。DEIは、職場の安心感を高める施策としても位置づけられます。

研修後の運用では、ケースで学んだことを職場の行動に変えます。管理職が次の1on1で何を聞くか、チーム会議でどの発言機会を増やすか、候補者にどの経験を渡すかを決めます。DEIは理念ではなく、仕事の任せ方、情報共有、面談、相談導線の積み重ねです。

また、DEIを現場に落とすには、人事だけでなく経営層と管理職のメッセージを揃えることも必要です。経営層が多様性の重要性を語っていても、現場の評価や仕事配分が変わらなければ、社員は本気度を感じません。評価、育成、配置、相談窓口、研修が同じ方向を向いているかを確認します。

社内説明では、DEIを道徳的な話だけにしないことも大切です。多様な人が働き続けられることは、採用競争力、離職防止、管理職候補の拡大、メンタルヘルス予防、顧客理解の広がりにも関係します。事業や人材戦略と結びつけて説明すると、管理職も自分の業務として受け止めやすくなります。

ケース起きやすい判断見直すポイント
育児・介護との両立配慮して仕事を外す本人の希望と必要な支援を確認する
女性管理職候補本人が希望するまで待つ期待と小さな挑戦機会を伝える
多様な文化背景暗黙のルールを当然とする評価・会議・報告の前提を明示する

よくある質問

DEIとダイバーシティは何が違いますか?

ダイバーシティは多様な人がいる状態を指し、DEIは多様性に加えて、公平な機会と包摂的な関係性まで整える考え方です。

女性活躍推進研修と同じですか?

重なる部分はありますが、DEIは女性活躍だけでなく、年齢、育児・介護、価値観、働き方、国籍、障がいなど幅広い多様性を扱います。

管理職向けには何を扱うべきですか?

用語説明だけでなく、仕事の任せ方、面談、期待の伝え方、配慮と成長機会の両立、ハラスメント予防をケースで扱うことが重要です。

研修効果はどう見ますか?

受講満足度だけでなく、面談実施率、経験付与、女性管理職候補者数、相談窓口利用、従業員満足度調査の変化などで見ます。

単発研修でも効果はありますか?

知識を揃える効果はありますが、現場行動に変えるには、面談設計、管理職支援、制度改善への接続が必要です。

参考文献

  1. 内閣府男女共同参画局「女性活躍推進法」
  2. 経済産業省「ダイバーシティ経営の推進」
  3. 厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」

著者プロフィール

CAREERBALANCE

株式会社キャリアバランス

キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理師など、全員が国家資格を保有するカウンセラー・講師チームが、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向け面談研修、メンタルヘルス対策を支援しています。

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