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キャリアプラン研修とは?人事が外部講師へ依頼する前に決めること

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研修の依頼を、講師探しから始めないために


監修:株式会社キャリアバランス

人事担当者と講師がキャリアプラン研修の内容を検討するイメージ
キャリアプラン研修の設計を検討するイメージ

キャリアプラン研修とは、従業員がこれまでの経験、身につけた能力、価値観、生活上の条件、組織から期待される役割を整理し、今後の働き方と次に試す行動を考える研修です。年表や計画表を完成させることだけが目的ではありません。上司とのキャリア面談、仕事上の経験、学び直し、社内制度へつながる設計が重要です。

人事が外部講師や研修会社を探すとき、「キャリアを考えるセミナーをお願いしたい」「年代別のキャリアプラン研修を実施したい」という依頼から始めることがあります。しかし、対象者が何に困っているのか、受講後にどの行動を期待するのか、会社が用意できる経験機会は何かが曖昧なままでは、一般論を聞いてワークシートを書くだけの研修になりがちです。

この記事では、キャリアプラン研修を外部へ依頼する前に人事が決めること、対象者別の設計、依頼書に含める項目、講師の選び方、研修後のキャリア面談と効果測定までを実務の順番で整理します。

結論として、依頼前に決めるのは、①経営・人事上の背景、②対象者と人数、③受講後に期待する行動、④会社から伝える情報、⑤研修時間と形式、⑥研修後の支援、⑦評価方法の7項目です。

キャリアプラン研修とは何か

キャリアプラン研修は、将来の肩書や異動希望を一つに決める場ではありません。本人が過去の経験を振り返り、現在の強みと課題を確かめ、仕事と生活の両面から今後の方向性を考える場です。変化の大きい環境では、十年先まで一本道の計画を作るより、現時点の仮説を置き、次に試す経験と学習を決め、節目ごとに見直す方が実務的です。

厚生労働省は、キャリアコンサルティングを、労働者の職業選択、職業生活設計、職業能力の開発・向上に関する相談と助言・指導として位置づけています。※1 また、セルフ・キャリアドックは、キャリア研修とキャリアコンサルティング面談を組み合わせ、従業員を体系的・定期的に支援する仕組みです。※2 つまり研修は、本人が考えるための共通言語を得る入口であり、個別の事情を扱う面談や職場での経験と組み合わせて機能します。

企業が実施する目的には、若手の定着、管理職候補の育成、女性管理職候補の支援、両立期のキャリア継続、ベテラン層の役割再設計、リスキリングの方向づけなどがあります。目的が異なれば、扱う問い、事例、ワーク、研修後の支援も変わります。「全社員へ同じキャリア理論を説明する」だけでは、本人の状況と会社の人材課題を結びつけにくくなります。

外部講師へ依頼する前に人事が決める7項目

講師候補へ問い合わせる前に、社内で次の7項目を整理します。すべてを確定できなくても、未確定の論点を明らかにすると、提案内容を比較しやすくなります。

  1. 経営・人事上の背景:離職、登用、役割転換、学び直しなど、なぜ今この研修が必要なのか。
  2. 対象者と人数:年齢だけでなく、職位、経験、雇用区分、置かれている転機を整理する。
  3. 受講後の行動:上司と話す、経験を選ぶ、学習を始める、相談窓口を利用するなど、何が変わればよいか。
  4. 会社から伝える情報:人事制度、期待する役割、社内公募、学習支援、相談制度をどこまで扱うか。
  5. 研修時間と形式:対面・オンライン、講義とワークの比率、グループ共有の範囲を決める。
  6. 研修後の支援:上司面談、個別相談、フォロー研修、行動確認を誰が担うか。
  7. 評価方法:満足度以外に、行動計画、対話、経験機会、学習への接続をどう見るか。

特に重要なのは、「受講者に自律的になってほしい」という抽象的な要望を行動へ置き換えることです。たとえば「半年以内に上司と今後の役割を話す」「現在の仕事で試す経験を一つ決める」「学習テーマを選び、利用できる制度を確認する」と定めると、講師は演習と成果物を逆算できます。

対象者によって研修テーマを変える

キャリアプランは年代だけで決まりません。同じ三十代でも、専門職として深めたい人、管理職候補、育児や介護と両立する人では、直面する問いが異なります。年齢区分を使う場合も、置かれた役割と転機を確認し、決めつけない表現にします。

主な対象研修で扱う問い研修後につなぐ先
若手社員経験から何を学んだか、強みが表れた場面は何か、次に試したい仕事は何か。育成担当との対話、経験学習、社内キャリア相談。
中堅・管理職候補専門性とマネジメントをどう選ぶか、組織からの期待をどう捉えるか。上司面談、役割付与、管理職候補育成。
両立期の社員仕事とライフの優先順位をどう整えるか、利用できる制度と支援は何か。人事制度、上司との業務調整、個別相談。
女性管理職候補登用への不安、ロールモデル不足、本人の意思と周囲の期待をどう整理するか。継続研修、上司支援、スポンサー・相談機会。
ベテラン・ミドルシニア層今後どのように貢献するか、手放すことと学び直すことは何か。ジョブアサイン、知見継承、学習、キャリア面談。

対象者を分けても、本人の選択肢を狭めるメッセージは避けます。「この年代なら管理職を目指す」「ベテランは後進育成を担う」と決めるのではなく、本人のWill、蓄積したCan、会社や役割からのMustを整理し、交点を探せる問いにします。

研修、キャリア面談、仕事上の経験をつなぐ支援設計のイメージ
研修で整理した内容を、面談と仕事上の経験へ接続します。

外部講師へ渡す依頼書に含めること

依頼書には、会社概要や開催日時だけでなく、研修が必要になった背景を記載します。離職率などの数値を共有できない場合でも、「若手が三年後の姿を描けない」「管理職候補が登用を負担として捉えている」「ベテラン層へ一律の研修を行ったが行動につながらない」といった観察事実は有用です。

  • 対象者の職位、経験、人数、参加が任意か必須か
  • 既に実施した研修、面談、サーベイと、その反応
  • 人事制度、キャリアパス、社内公募、学習支援の概要
  • 受講者へ伝えてよい会社方針と、講師に期待する中立性
  • ワークで扱わない情報、グループ共有の範囲、守秘上の配慮
  • 成果物の扱い方、回収の有無、上司や人事への共有範囲
  • 研修後の面談、相談窓口、フォロー施策の予定

個人のキャリアプランを人事が回収する場合、受講者は評価や異動への影響を意識します。率直な振り返りを促すワークと、会社へ提出する行動計画は分ける方法があります。何を本人だけが持ち帰り、何を上司と共有し、何を人事が集計するかを講師と事前に決めます。

研修プログラムの組み立て方

標準的な流れは、目的の理解、経験の棚卸し、強みと価値観の整理、環境と役割の確認、選択肢の検討、次の行動の設定です。ただし、講義を長くしすぎると本人が考える時間が減ります。理論はワークの意味を理解するために絞り、個人作業、対話、振り返りの時間を確保します。

2時間研修なら、導入と守秘の説明、経験の棚卸し、価値観・強みの整理、今後の役割仮説、次の90日で試す行動までを扱えます。半日から1日なら、Will・Can・Must、ライフと仕事のバランス、職場の選択肢、対話演習まで広げられます。複数回型では、1回目で自己理解、職場実践を挟み、2回目で振り返りと計画修正を行う設計が可能です。

厚生労働省は、企業がキャリアコンサルタントを探し、キャリア形成支援に活用できる案内を提供しています。※3 外部講師に依頼するときは、登壇の巧さだけでなく、研修前のヒアリング、企業ごとの事例調整、個別相談が必要な受講者への導線、研修後の人事への助言まで含めて考えます。

外部講師・研修会社を選ぶ基準

キャリアを扱う研修では、受講者から転職、上司との関係、メンタル不調、家庭事情など個別性の高い話が出ることがあります。講師がどこまで扱い、どのような場合に社内窓口や専門職へつなぐかを確認します。国家資格キャリアコンサルタント等の資格は一つの基準ですが、企業での支援経験と運用設計力も必要です。

提案書を比較するときは、コンテンツの量より、目的との対応を見ます。なぜそのワークを行うのか、対象者に合わせて何を変えるのか、研修後に何を残すのか、本人の率直な記述をどう守るのかが説明されているかを確認します。市販のパッケージが悪いわけではありませんが、自社の制度や対象者に合わない部分を調整できるかが重要です。

見積もりには、登壇料だけでなく、事前打ち合わせ、資料のカスタマイズ、アンケート、報告、個別面談、フォロー研修が含まれるかを確認します。依頼範囲を揃えずに金額だけを比較すると、必要な設計やフォローが後から追加になることがあります。

キャリア面談と職場実践へつなぐ

研修直後は意欲が高くても、日常業務へ戻ると計画が止まりやすくなります。研修の最後に「考えが整理された」で終えず、誰と、いつ、何を話すか、どの仕事で試すかを決めます。本人が希望する場合は、上司とのキャリア面談へ持ち込む一枚のシートを作ります。

上司には、部下の答えを評価するのではなく、経験を聞き、本人の希望と組織の期待をすり合わせ、次の機会を一緒に考える役割があります。上司向けに短い説明会や面談研修を行わず、部下だけへキャリア自律を求めると、「考えたが職場で話せない」という状態になります。

個別の迷いが大きい人には、国家資格キャリアコンサルタント等とのキャリア相談を用意します。ジョブ・カードは、職務経歴、能力、価値観、今後の目標を整理する補助ツールとして活用できます。※4 研修で共通の枠組みを学び、個別面談で本人固有の事情を扱うと、集団研修だけでは拾えない課題へ対応できます。

成果物と効果測定

成果物は、長期の完成版キャリアプランより、更新できる仮説として設計します。経験の棚卸し、現在の強み、今後広げたい能力、試したい役割、相談したい相手、90日以内の行動など、職場で使える項目に絞ります。記入欄を増やすほど良いわけではありません。

研修直後には、理解度、納得感、次の行動が明確になったかを確認します。一か月から三か月後には、上司や専門家との対話を実施したか、経験機会や学習へ進んだか、行動計画を見直したかを確認します。さらに人事は、対象層ごとの相談傾向や制度上の障壁を個人が特定されない形で把握し、次の施策へ反映します。

JILPTの調査は、企業におけるキャリア支援とセルフ・キャリアドック導入の現状・課題を扱っています。※5 研修一回の満足度だけでなく、継続的な面談、職場での支援、制度とのつながりを含めて見ることが、キャリア支援を仕組みにするうえで重要です。

よくある失敗と防ぎ方

一つ目は、目的より先に講師や研修テーマを決めることです。著名な講師の話を聞くことが目的になると、自社の課題に対応しません。対象者の困りごとと受講後の行動から逆算します。

二つ目は、全対象者へ同じ問いを使うことです。若手、管理職候補、両立期、ベテラン層では、組織からの期待も本人の選択肢も異なります。共通理論を使う場合も、事例と問いを変えます。

三つ目は、本人だけにキャリア自律を求めることです。上司の関わり方や経験機会が変わらなければ、計画は実行できません。上司への説明、面談、ジョブアサインを同時に設計します。

四つ目は、個人情報の扱いが曖昧なことです。ワークシートの回収範囲、グループで共有する内容、講師が個別相談を受けた場合の対応を事前に説明します。

五つ目は、研修後の導線がないことです。相談窓口、上司面談、フォロー研修、学習制度のうち、次に使えるものを研修中に案内し、行動日を決めます。

キャリアバランスで支援できること

株式会社キャリアバランスでは、対象者と人事課題に合わせたキャリア開発研修を設計しています。事前ヒアリングをもとに、若手、中堅、管理職候補、女性社員、ベテラン・ミドルシニア層など、対象者に合う問い、事例、ワーク、成果物を組み立てます。

研修だけで終えず、上司向けキャリア面談研修、企業内キャリア相談室、個別キャリアコンサルティング、フォロー研修を組み合わせられます。講師へ何を依頼すべきか決まっていない段階から、目的と対象者、実施形式、研修後の運用を整理できます。

よくある質問

Q. キャリアプラン研修とは何ですか?

従業員が経験、強み、価値観、期待される役割を整理し、今後の働き方と具体的な行動を考える研修です。計画表を作るだけでなく、仕事上の経験や上司との対話へつなげます。

Q. 外部講師へ依頼する前に何を決めればよいですか?

研修の目的、対象者、受講後に期待する行動、社内制度との接続、実施時間、成果物、研修後のフォロー方法を決めます。講師には背景と制約も共有します。

Q. 年代別に研修内容を変える必要はありますか?

必要です。若手は経験の棚卸し、管理職候補は役割選択、両立期は働き方、ベテラン層は今後の貢献と学び直しなど、置かれた状況に応じて問いと事例を変えます。

Q. キャリアプラン研修とキャリア面談はどう組み合わせますか?

研修で整理した内容を、本人が上司とのキャリア面談や専門家との相談へ持ち込みます。面談後に経験機会、学習、役割調整などの行動を確認すると定着しやすくなります。

Q. 講師はどのような基準で選べばよいですか?

キャリア支援の資格だけでなく、企業研修の経験、対象層への理解、守秘への配慮、事前設計力、質問への対応、研修後の面談や施策まで見通せるかを確認します。

Q. 研修の効果は何で測ればよいですか?

満足度だけでなく、次の行動が言語化されたか、上司との対話が行われたか、経験機会や学習へ接続したか、一定期間後に計画を見直したかを確認します。

参考文献

  1. 厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
  2. 厚生労働省委託事業「セルフ・キャリアドックとは」
  3. 厚生労働省「企業・学校等においてキャリア形成支援に取り組みたい方へ」
  4. 厚生労働省 マイジョブ・カード「キャリアコンサルティング関係者の方へ」
  5. 労働政策研究・研修機構「企業におけるキャリア支援の現状と課題―セルフ・キャリアドック導入を中心として―」

著者プロフィール

CAREERBALANCE

株式会社キャリアバランス

キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理師など、全員が国家資格を保有する専門家チームとして、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向け面談研修、メンタルヘルス対策を支援しています。

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