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キャリア形成支援とは

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キャリア形成支援とは?企業が面談・研修・相談窓口をどう組み合わせるか


監修:株式会社キャリアバランス

キャリア形成支援の施策を面談・研修・相談窓口として接続する抽象イメージ
キャリア形成支援の施策を面談・研修・相談窓口として接続するイメージ

キャリア形成支援は、従業員に「自分でキャリアを考えてください」と伝えるだけでは機能しません。仕事経験、上司との対話、専門家への相談、研修での自己理解をつなぎ、本人が次の経験を選びやすくする設計が必要です。厚生労働省はキャリアコンサルティングについて、職業生活設計や職業能力開発に関する相談・助言・指導を行うものとして整理しています※1。企業の人事施策として考える場合は、この個別支援を、配置、育成、管理職の関わり方、相談窓口の運用とどう接続するかが重要になります。

令和6年度能力開発基本調査では、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所が79.9%と示されています。また、正社員に対してキャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している事業所は49.4%です※2。仕組みを持つ企業が増えている一方で、面談を置いただけ、研修を実施しただけでは、本人の行動や職場のマネジメントは変わりません。キャリア形成支援は、制度を増やすことではなく、従業員が経験を意味づけ、次の行動に移せる流れをつくることです。

キャリア形成支援とは
従業員が自分の経験、強み、価値観、今後担いたい役割を整理し、次の仕事経験や学習、相談行動につなげられるように、企業が面談・研修・相談窓口・配置育成を組み合わせて支える取り組みです。

キャリア形成支援が企業課題になる理由

キャリア形成は本人だけの問題に見えがちですが、実際には組織側の期待、上司の関わり方、職場で得られる経験に大きく影響されます。若手社員であれば「この会社で成長できるのか」という不安、管理職候補であれば「管理職になる意味があるのか」という迷い、女性管理職候補であれば「仕事とライフイベントを両立しながら担えるのか」という見通しの持ちにくさ、ベテラン層であれば「これまでの経験を今後どう活かすか」という役割再定義が起こります。対象者ごとに悩みの形は異なりますが、共通しているのは、本人が一人で整理するには難しいという点です。

よくある失敗は、キャリア研修を単発で行い、受講後の面談や職場での経験設計につなげないことです。研修では本人の気づきが生まれても、上司がその内容を受け止められなければ、日常の仕事は変わりません。逆に、面談だけを制度化しても、管理職が傾聴や質問を学んでいなければ、評価面談の延長になりやすくなります。相談窓口だけを設けても、従業員が何を相談してよいかわからなければ利用されません。だからこそ、キャリア形成支援は「研修」「面談」「相談窓口」「上司支援」を一体で設計する必要があります。

キャリア形成支援の設計資料を確認する人事担当者のイメージ
キャリア形成支援の設計資料を確認する人事担当者のイメージ

面談・研修・相談窓口をどう組み合わせるか

キャリア形成支援を設計するときは、最初に「誰に、どの行動を増やしたいのか」を決めます。自己理解を深めたいのか、管理職が部下のキャリア相談に応じられるようにしたいのか、離職予兆を早く拾いたいのか、女性管理職候補の不安を扱いたいのかで、必要な施策は変わります。研修は知識と視点をそろえる場、面談は本人の状況を深く聞く場、相談窓口は上司に言いにくい悩みを扱う場、上司向け研修は日常の関わり方を変える場です。それぞれの役割を分けると、施策同士がぶつからず、利用者にも説明しやすくなります。

施策向いている目的注意点
キャリア開発研修自己理解、仕事観の整理、今後の経験テーマの発見。受講後の面談や上司との対話につなげないと、気づきで止まりやすい。
キャリア面談本人の希望・強み・不安を聞き、次の経験や学習に接続する。評価面談と混同すると本音が出にくくなる。
社内キャリア相談室上司に言いにくいキャリア不安、メンタル不調の手前、異動・両立の相談を扱う。守秘性と利用目的を丁寧に説明する必要がある。
管理職向け研修部下のキャリア相談への対応力、傾聴・質問・フィードバックの質を上げる。知識だけでなくロールプレイや事例検討が必要。

対象者別に設計を変える

キャリア形成支援は、全社員に同じ内容を配ればよいものではありません。若手社員には、入社後に面白いと感じた仕事、苦手意識が出た場面、今後試したい経験を聞くことが有効です。管理職候補には、プレイヤーとしての強みと、マネジメントで求められる役割の違いを整理します。女性管理職候補には、本人の意欲だけでなく、周囲の期待、ロールモデル不足、ライフイベントとの両立不安も含めて確認します。ベテラン層には、過去の経験を棚卸しするだけでなく、今後どのような貢献をしたいか、何を手放すか、次世代支援や専門性継承にどう関わるかを話します。

対象者ごとに問いを変えることで、面談は単なる雑談ではなくなります。本人が言語化できていない不安や希望を扱い、職場で試せる小さな行動に落とし込むことができます。人事施策として導入する場合は、対象者ごとの面談ガイド、上司向けの聞き方研修、外部相談窓口の利用ルールをセットで用意すると、現場で使いやすくなります。

導入前に決めておきたいこと

キャリア形成支援を始める前には、目的、対象者、相談範囲、社内共有の範囲を決めておきます。目的が「離職防止」なのか「管理職候補育成」なのか「キャリア自律の促進」なのかで、案内文も面談設計も変わります。対象者も、全社員に広げる前に、若手、管理職候補、女性管理職候補、ベテラン層など特定の層から始める方が運用しやすい場合があります。相談範囲は、キャリアの悩みだけでなく、働き方、両立、メンタル不調の手前、上司との関係など、現実に相談されやすいテーマを想定しておく必要があります。

社内共有の範囲も重要です。相談者の個別内容を人事や上司へ共有しないこと、ただし組織改善に必要な傾向は個人が特定されない形で整理することを、導入時に説明しておくと安心感が生まれます。相談窓口の存在を知らせるだけでは利用されにくいため、研修後の案内、管理職からの紹介、社内FAQ、相談例の提示などを組み合わせると、従業員が「自分も相談してよい」と理解しやすくなります。

運用で見るべき指標

キャリア形成支援の効果は、短期の満足度だけでは判断しにくいものです。研修後アンケートだけでなく、面談実施率、相談窓口の利用テーマ、管理職の面談スキル自己評価、異動・配置希望の把握状況、離職率やエンゲージメントの推移を組み合わせて見る必要があります。特に、相談窓口の利用件数は多ければよいというものではありません。相談が増えることは、問題が増えたのではなく、声を上げられる状態になった可能性もあります。重要なのは、相談内容を個人が特定されない形で傾向分析し、人事施策や管理職研修へ戻すことです。

また、キャリア形成支援は、導入初年度だけで完成するものではありません。年度ごとに対象者を広げる、上司向け研修を追加する、相談窓口のレポートをもとに研修テーマを見直す、といった改善サイクルが必要です。人事が一人で抱え込むのではなく、外部専門家によるスーパーバイズや定期的な振り返りを入れることで、制度が形骸化しにくくなります。

このように、キャリア形成支援は一度作った制度を固定するものではなく、職場の変化に合わせて問い、対象者、支援範囲を更新していく取り組みです。

社内導入ロードマップの作り方

キャリア形成支援を社内に入れるときは、最初から全社員向けに大きな制度を作ろうとすると止まりやすくなります。まずは、若手社員、管理職候補、女性管理職候補、ベテラン層、専門職など、どの層の課題が最も大きいのかを確認します。そのうえで、面談、研修、相談窓口、配置・育成施策のどれを先に整えるかを決めます。

たとえば若手社員の離職防止が目的であれば、入社後の不安や配属後の違和感を早めに拾う面談設計と、上司がキャリア相談を受け止める研修が優先されます。管理職候補を増やしたい場合は、本人のWillだけでなく、次に任せる経験、上司からの期待、管理職になる前の不安を整理する面談が必要です。ベテラン層では、これまでのCanを棚卸しするだけでなく、今後の役割や後進支援にどうつなげるかを扱います。

運用ロードマップでは、初年度に「対象者を絞った試行」、2年目に「管理職研修と相談窓口の接続」、3年目に「制度・配置・育成施策との連動」というように段階を分けると進めやすくなります。人事が単独で抱えるのではなく、現場管理職、外部キャリアコンサルタント、社内相談窓口、必要に応じてメンタルヘルス支援の担当者と役割を分けることが重要です。

社内説明では、「キャリア形成支援は社員の希望をすべて叶える制度ではない」と伝えることも大切です。本人の希望を聞きながら、組織の期待や事業上の制約も整理し、現実的な次の経験に接続する取り組みです。この前提を共有しておくと、面談が異動希望の聞き取りだけになったり、研修が自己分析だけで終わったりすることを防ぎやすくなります。

また、相談内容をどのように組織改善へ活かすかも設計しておきます。個人が特定される情報は守りつつ、相談テーマの傾向、上司との関係、キャリア不安、学習機会への不満などを集計し、研修テーマや制度改善につなげることで、キャリア形成支援は人事施策として機能します。

キャリアバランスで支援できること

キャリアバランスでは、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向けキャリア面談研修、女性活躍推進、ベテラン層支援、ダイバーシティ推進を組み合わせ、企業ごとの課題に合わせたキャリア形成支援を設計します。研修だけ、面談だけ、相談窓口だけではなく、現場で使われる流れとして設計することを重視しています。

導入後に人事が確認したい運用ポイント

キャリア形成支援は、初回の研修や面談を実施した後の運用で差が出ます。人事は、面談で出たテーマが本人の次の経験につながっているか、上司が面談内容を評価と混同していないか、相談窓口に寄せられる悩みが制度改善に活かされているかを確認します。

特に、キャリア面談、キャリア開発研修、社内相談窓口を別々の施策として管理すると、従業員からは「どこに相談すればよいのか」が見えにくくなります。年次、職種、管理職候補、女性社員、ベテラン層など対象者ごとに入口を整理し、必要に応じて外部キャリアコンサルタントや国家資格者による面談へつなげることで、制度を使われる仕組みに変えやすくなります。

四半期ごとの見直しで確認すること

キャリア形成支援は、導入時の設計だけで完成しません。四半期ごとに、利用状況、面談後の行動、管理職の困りごと、相談窓口に寄せられるテーマ、研修後の実践状況を見直すことで、施策が現場に合っているかを確認できます。数字だけを見るのではなく、相談しにくい層が残っていないか、面談が評価や異動希望の確認に寄りすぎていないか、研修で扱った内容が実際の職場で使われているかを見ます。

見直しの場では、対象者別に課題を分けると改善点が見えやすくなります。若手社員は配属後の不安や成長実感、管理職候補は役割への不安や経験不足、女性管理職候補はロールモデル不足や両立不安、ベテラン層は今後の役割や専門性継承がテーマになりやすいです。全員に同じ研修や同じ面談シートを配るより、対象者ごとに聞くべき問いと次につなげる経験を変える方が、運用しやすくなります。

また、キャリア形成支援は人事制度だけでなく、健康経営、エンゲージメント向上、ダイバーシティ推進ともつながります。ストレスチェックや従業員満足度調査で見えている課題を、キャリア面談や相談窓口のテーマと照らし合わせると、組織としてどこに手を打つべきかが整理しやすくなります。

よくある質問

Q. キャリア形成支援とは何ですか?

従業員が経験や強み、今後の役割を整理し、次の仕事経験や学習に進めるよう、面談・研修・相談窓口・配置育成を組み合わせる取り組みです。

Q. キャリア面談だけでは不十分ですか?

面談は重要ですが、研修での自己理解、上司の関わり方、相談窓口、面談後の経験設計がつながらないと、行動変容まで届きにくくなります。

Q. どの対象者から始めるとよいですか?

若手離職、管理職候補、女性管理職候補、ベテラン層など、経営課題や人事課題が大きい層から始めると設計しやすくなります。

Q. キャリア形成支援の効果はどう見ますか?

面談実施率、相談テーマの傾向、研修後の行動、離職率やエンゲージメントの変化を組み合わせて確認します。

Q. 外部専門家を入れる意味はありますか?

上司や人事には話しにくい内容を扱えること、面談設計やスーパーバイズを客観的に行えることが外部専門家の強みです。

Q. 中小企業でも導入できますか?

はい。対象者や施策を絞り、管理職研修、個別相談、キャリア開発研修を小さく組み合わせる形でも導入できます。

参考文献

  1. 厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
  2. 厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」の結果

著者プロフィール

CAREERBALANCE

株式会社キャリアバランス

キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理師など、全員が国家資格を保有するカウンセラー・講師チームが、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向け面談研修、女性活躍推進、ダイバーシティ推進、メンタルヘルス対策を支援しています。

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