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キャリアカウンセリングとは

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キャリアコンサルティングを企業の働き方支援に活かすには


監修:株式会社キャリアバランス

イメージ写真:キャリア相談の場を想起させる落ち着いた相談スペース
キャリア相談の場を想起させる落ち着いた相談スペース

キャリアカウンセリングとは、働く人が自分の経験、強み、価値観、今後の働き方を整理し、次の一歩を考えるための対話支援です。企業の現場では「キャリアコンサルティング」「キャリア相談」「キャリア面談」と近い意味で使われることもあります。厳密には国家資格としての名称はキャリアコンサルタントであり、厚生労働省も労働者の職業生活設計や職業能力開発を支援する専門家として位置づけています。※1

キャリアカウンセリング/キャリアコンサルティングとは
仕事上の役割や能力開発だけでなく、ライフイベント、働き方、価値観、職場での関係性も含めて、本人がこれからのキャリアを考えられるように支援する対話です。企業では、相談窓口、セルフ・キャリアドック、キャリア面談、社外キャリアコンサルティングとして活用されます。

言葉の整理:別々に見えて、実務では近い意味で使われます

検索上は「キャリアカウンセリング」「キャリアコンサルティング」「キャリア相談」「社外キャリアコンサルティング」など複数の言葉がありますが、企業内の実務では重なる部分が大きいです。社員から見ると、呼び名よりも「何を安心して話せるのか」「その後どう役立つのか」が重要です。制度名が違っても、本人の経験を棚卸しし、今後の働き方を考え、必要に応じて次の経験や支援につなげるという目的は共通しています。

ただし、言葉を曖昧なまま並べると、社員にも管理職にも伝わりません。人事向けの説明では、キャリアカウンセリングとキャリアコンサルティングを近い意味として整理し、「働き方の相談」「今後の役割や成長を考える面談」「ライフも含めたキャリア支援」という表現に落とし込むと理解されやすくなります。

企業側が注意したいのは、キャリア相談を単なる悩み相談として扱わないことです。本人の気持ちを聞くことは大切ですが、そこで終わると、現場での行動変化につながりません。相談内容を評価に使わない守秘性を確保しつつ、本人が次に試す経験、上司と話すテーマ、必要な学びや支援へ接続する設計が必要です。

企業で必要になる理由

企業でキャリアカウンセリングが必要になる背景には、職種や働き方の多様化があります。若手社員は「この会社で成長できるのか」を早い段階で考えます。中堅社員は、役割が固定化するなかで次の挑戦機会を探します。管理職候補は、管理職になることへの不安や自信のなさを抱えることがあります。ベテラン層は、定年前後の役割や貢献の仕方を見直す必要があります。

これらの悩みは、本人だけの問題ではありません。組織側が成長機会を示せていない、上司がキャリアの話をしにくい、相談窓口があっても利用されていない、研修が行動に結びついていない、といった構造的な課題として表れます。キャリアカウンセリングは、本人の整理を支援すると同時に、組織がどこで支援を追加すべきかを見つける入口にもなります。

令和6年度の能力開発基本調査では、正社員に対してキャリアコンサルティングを行う仕組みがある事業所は49.4%、正社員以外では31.4%とされています。※2 仕組みを持つ企業は増えていますが、半数近くはまだ十分に整っていません。また、仕組みがあっても「使われる相談窓口」になっているかは別問題です。

イメージ写真:キャリア面談で仕事と生活の両立を整理する様子
キャリア面談で仕事と生活の両立を整理する様子

ライフも含めて扱う意味

キャリアという言葉は、昇進や職種変更だけを指すものではありません。育児、介護、健康状態、パートナーの転勤、学び直し、住まい方、働く時間など、ライフの要素と切り離せません。社員が「管理職になるか迷っている」と話すとき、その背景には責任の重さだけでなく、家庭との両立、体力、将来の生活設計、周囲の期待が含まれていることがあります。

そのため、企業内のキャリア支援では「何になりたいか」だけを聞くのではなく、「どのように働きたいか」「どんな経験を積みたいか」「今の生活条件の中で何なら試せるか」を扱う必要があります。キャリアカウンセリングは、本人のライフも含めた働き方を整理し、現実的な次の一歩へつなげる支援です。

相談テーマ表面上の悩み一緒に確認したい観点
若手の離職不安今の仕事に意味を感じにくい成長実感、上司との対話、次に試したい経験
管理職候補の迷い管理職になりたくない不安の具体化、支援条件、マネジメント経験の小さな試行
女性社員のキャリア両立が不安で昇進に前向きになれないライフイベント、職場支援、ロールモデル、仕事配分
ベテラン層の停滞感今後の役割が見えない経験の棚卸し、後進育成、専門性継承、働き方の再設計

1on1・評価面談との違い

1on1、評価面談、キャリアカウンセリングは似て見えますが、目的が違います。評価面談は成果や目標の確認が中心です。1on1は日常の業務支援やコンディション確認に使われます。キャリアカウンセリングは、本人の経験、価値観、強み、今後の働き方を整理し、長期的な成長や役割につなげる対話です。

管理職が部下とキャリアの話をすることは重要ですが、上司だけでは扱いにくいテーマもあります。異動希望、職場への不満、メンタル不調の入口、家庭事情、上司自身との関係などは、社内の評価者には話しにくいものです。外部のキャリアコンサルタントや相談窓口を組み合わせると、社員が本音を出しやすくなります。

面談の種類主な目的注意点
評価面談目標・成果・評価の確認本音のキャリア相談にはなりにくい
1on1業務支援、短期的な課題解決、関係づくり上司の面談スキルに左右されやすい
キャリアカウンセリング働き方、価値観、今後の経験設計の整理守秘性と面談後の接続を設計する必要がある

相談窓口として設計する方法

企業内にキャリア相談窓口を設置する場合、ただ「相談できます」と告知するだけでは利用されにくいです。社員は、自分の相談が評価に影響しないか、どこまで秘密が守られるのか、相談して何が変わるのかを気にしています。利用される窓口にするには、利用目的、予約方法、守秘ルール、相談後のフォローを具体的に示す必要があります。

特に、相談窓口をメンタルヘルス相談、ハラスメント相談、人事相談とどう切り分けるかは重要です。キャリアの悩みとメンタル不調はつながることがありますが、医療的対応が必要な相談と、働き方や役割の整理を行う相談では専門性が異なります。公認心理師やキャリアコンサルタントなどの専門性を組み合わせ、適切にリファーできる体制を作ることが求められます。

  • 相談内容が評価や異動判断に直接使われないことを明記する
  • 緊急性の高いメンタルヘルス相談との連携ルールを決める
  • 相談後に本人が持ち帰れる整理シートを用意する
  • 個人が特定されない形で、組織課題の傾向を人事施策へ反映する
  • 上司向けのキャリア面談研修と組み合わせる

コーチングとの違いも整理しておく

コーチングは、対話を通じて相手の思考や行動を引き出し、目標達成や自己実現を促すコミュニケーション術として説明できます。キャリアカウンセリングと重なる部分はありますが、企業で設計する際は、コーチングだけでなくキャリア形成、職業能力開発、ライフも含めた働き方の整理まで扱えるかを確認するとよいです。

キャリアカウンセリングは、本人の気持ちを引き出すだけでなく、労働市場、社内の役割、能力開発、ライフイベント、メンタルヘルスの入口を踏まえて支援します。管理職がコーチングを学ぶことは有効ですが、社員が深い迷いや不調を抱えている場合は、外部の有資格者につなぐことも必要です。

導入は小さく始め、運用で育てる

キャリアカウンセリングを制度化する場合、最初から全社員向けに大きく展開するより、目的を絞って始める方が現実的です。若手離職が課題なら入社2〜3年目を対象にする。管理職候補の不安が課題なら候補者層と上司を対象にする。女性活躍推進が課題なら、女性管理職候補とその上司を対象にする。対象を絞ると、面談で扱う問いとフォロー施策が具体化します。

JILPTの調査でも、キャリア関連施策の導入には、経営層・管理職層の意識、社風、人材・予算・時間、社内への浸透などが影響すると整理されています。※3 つまり、相談窓口だけを置いても、管理職がキャリア支援を自分の役割として理解していなければ機能しません。相談窓口、上司向け研修、キャリア研修を組み合わせることが大切です。

キャリアバランスで支援できること

キャリアバランスでは、キャリアカウンセリングを単独の面談サービスとしてではなく、企業内キャリア相談室、外部キャリアコンサルティング、キャリア開発研修、管理職向けキャリア面談研修と接続して設計します。社員が本音で相談できる場を作り、面談後に現場で次の経験を試せるようにすることを重視しています。

相談テーマが多岐にわたる場合は、キャリア相談とメンタルヘルス予防を分けすぎず、必要に応じて連携できる運用が有効です。たとえば、キャリア上の不安が強い社員にはキャリアコンサルティングを行い、ストレス反応が強い場合には公認心理師などの専門性を持つ担当者につなぐ。そうした導線を設計することで、相談窓口が単なる受付ではなく、予防的な支援の入口になります。

ケース別に設計を変える

キャリアカウンセリングを企業で活用する場合、全社員に同じ案内を出すより、対象者ごとの課題に合わせて見せ方を変える方が利用されやすくなります。若手社員には「今後の成長や働き方を整理する時間」、管理職候補には「役割への不安を整理する時間」、ベテラン層には「これまでの経験を次にどう生かすかを考える時間」と伝えると、相談の入口が具体的になります。

特に、相談窓口の導入初期は「誰が使ってよいのか」が曖昧になりがちです。悩みが深い人だけが使う制度に見えると、利用すること自体に心理的な抵抗が生まれます。むしろ、キャリアを定期的に振り返る通常の機会として位置づけ、研修や1on1とつなげる方が自然です。

対象者伝え方設計上のポイント
若手社員成長実感と今後の経験を整理する離職防止だけを前面に出さず、成長支援として伝える
中堅社員専門性・役割・リスキリングを見直す停滞感や役割固定化を扱える面談にする
管理職候補管理職への不安や試したい経験を整理する昇進の説得ではなく、役割理解と支援条件を扱う
ベテラン層経験を次の貢献へつなげる過去の棚卸しだけで終わらせず、後進育成や継承へ接続する

運用で失敗しないための社内説明

社内説明では、制度の目的と守秘性を具体的に伝えます。「キャリア相談を始めます」だけでは、社員は何を話してよいかわかりません。たとえば、「今後の働き方」「上司には話しにくいキャリア上の迷い」「仕事とライフイベントの両立」「次に伸ばしたい能力」など、相談テーマの例を示します。

あわせて、相談内容がそのまま評価や異動判断に使われるものではないこと、個人が特定されない形で傾向を人事施策に生かすこと、必要に応じてメンタルヘルス相談やハラスメント相談へ連携することを明示します。ここが曖昧だと、社員は安心して話せません。

また、管理職にも制度の意味を説明しておく必要があります。部下が外部相談を使うことを「上司に相談できない状態」と受け取られると、利用しにくくなります。上司がすべてを抱え込むのではなく、必要に応じて専門家につなぐことも部下支援の一部であると共有することが大切です。

よくある失敗

  • 制度名だけを告知し、相談テーマの例を示していない。
  • 評価面談や異動希望調査と混同され、社員が本音を話せない。
  • 面談後に本人が何をすればよいか決まらず、気づきで終わる。
  • 管理職が制度を理解しておらず、部下の利用を後押しできない。
  • 相談窓口とメンタルヘルス対応の切り分けが曖昧なまま運用される。

これらを避けるには、導入前に目的、対象者、守秘ルール、報告範囲、面談後の接続先を決めておく必要があります。キャリアカウンセリングは、話を聞く場であると同時に、社員が次の経験へ進むための設計でもあります。

よくある質問

Q. キャリアカウンセリングとキャリアコンサルティングは違いますか?

企業実務では近い意味で使われることが多く、どちらも働く人の経験・価値観・役割・今後の働き方を対話で整理する支援です。国家資格名としてはキャリアコンサルタントが使われます。

Q. 社員のどんな相談に対応できますか?

異動・昇進への不安、今後の働き方、管理職になる前の迷い、育児・介護などライフイベントとの両立、職場での人間関係やメンタル不調の入口まで幅広く扱えます。

Q. 人事評価面談や1on1と何が違いますか?

評価面談は成果確認、1on1は日常的な業務支援が中心です。キャリアカウンセリングは本人の価値観やライフも含めた働き方を整理し、次の経験へ接続する点が特徴です。

Q. 外部のキャリアコンサルタントに委託できますか?

できます。外部専門家を活用すると、守秘性と中立性を確保しやすく、社員が本音を話しやすい相談環境を作れます。

Q. 相談窓口として設置する場合の注意点は?

予約方法、守秘ルール、報告範囲、緊急時の対応、メンタルヘルス相談との切り分けを明確にすることが重要です。

参考文献

  1. 厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ」
  2. 厚生労働省 令和6年度「能力開発基本調査」の結果について
  3. JILPT「企業におけるキャリア支援の現状と課題」

著者プロフィール

CAREERBALANCE

株式会社キャリアバランス

キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理師など、全員が国家資格を保有するカウンセラー・講師チームが、企業内キャリア相談室の立ち上げ・運用支援、キャリア開発研修、管理職向け面談研修、メンタルヘルス対策を支援しています。

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